IT事務の仕事を初心者向けにまとめて解説!

「ITの知識を活かして、社内を支える事務職」ともいえるこのお仕事について、IT業界に詳しくない方にもわかりやすいようにお伝えします。
仕事内容、向いている人、必要なスキルや資格、年収やキャリア、一日のスケジュール、就職・転職までの流れなど、知りたい情報を一つの記事にまとめました。
今回の記事を読めば「IT事務」というお仕事への理解が深まり、より興味を持って頂けることでしょう。

IT事務は事務じゃない!?
IT事務は基本的には企業や教育機関、行政機関などの組織の中で働く人たちのITに関わることをサポートするお仕事です。
よくある勘違いとして、IT事務を一般事務のお仕事と同じように考えてしまうケースがあります。
同じ事務と名前がついていても、IT事務と一般事務は異なる職種だということを理解しておかなければいけません。
事務の仕事といえば、おおまかに書類作成(Word、Excelなど)、データ入力・集計、郵便物の仕分け・発送、電話・来客対応、ファイリングや備品管理といったところですが、それは一般事務のお仕事。
IT事務はもう少しITのスキル(知識や技術)を求められるお仕事だと言えます。
IT事務の主な仕事内容とは
IT事務の実際の仕事の一例を紹介します。
- 社内のパソコン設定、初期セットアップ(キッティング)
新入社員や異動者向けにパソコンやスマートフォンの初期設定やソフトウェア(アプリ)のインストールを行います。
今やどのような業界でもパソコンを使う時代ですので、業務開始に支障が出ないよう、IT環境を整備する業務です。
- アカウント管理、パスワード再設定
社内システムのアカウント発行や、ID・パスワードの管理、再設定などを行います。
情報セキュリティを維持しつつ、社員の業務が円滑に進むようサポートします。
- 社内システムのマニュアル作成やサポート
多くの企業では業務システムや出退勤管理システムなど、様々なITのシステムを利用して事業を行っています。
そのような社内で使用する各種ITツールやシステムの操作マニュアルを作成・更新します。
- IT資産管理(ライセンス・機器管理)
社内のパソコンやモニター、業務用スマートフォン、ソフトウェアのライセンスなどのIT資産を管理します。
在庫の把握、貸与状況の記録、棚卸し対応などを通じて、適正な資産運用をサポートします。
- ヘルプデスク(問合せ対応)
社員からのITに関する問い合わせに対応し、トラブルの一次対応や解決をおこないます。
迅速で丁寧な対応が求められる上、ITの知識や技術が活かせる業務でもあります。
上記の仕事はあくまで一例なので、企業や組織によってはそれ以外のITにかかわる仕事を行う場合もあるかもしれません。
また、所属する企業の中で働く場合もあれば、取引先の別企業に出向してIT事務として働くケースも増えてきています。
SESや派遣という働き方についても知識を身につけておくことをおすすめします。
【過去記事:SESってなに?派遣と違うの?未経験ITエンジニアが知らないIT業界の本音と建前】
IT事務に向いている人の特徴
当社でIT事務の業務を経験されている方に「どんな人がIT事務にむいていますか?
と訪ねたところ、以下のような人が特に向いていると教えてくれました。
・人をサポートするのが好きな方
IT関連業務をサポートする業務が中心となるため、誰かのために働くことが好きな方には向いています。
補助的な役割が得意だったり、ホスピタリティを発揮できる人にとってはやりがいがある仕事だと言えます。
・細やかな気配りができる方
お客様や仲間、状況に気を配り、細かなことにも気づいて対応できる方が向いています。
周囲の変化や問題点に敏感で、それを率先して共有できるような姿勢が求められます。
・相手の状況を想像できる方
サポートする相手は、対面だけでなく、メールや電話、チャットなどリモートでのやり取りが多い場合もあります。
そのため、相手の状況をイメージしながら適切に対応する想像力が求められます。
IT事務は未経験でも目指せる?必要なスキルと資格
IT事務はIT業界の中でも、未経験者向けの仕事だと言ってもいいでしょう。
ITのスキルが求められると言いましたが、その多くはIT業界の中でも基礎的なものだったり、パソコンや決められたツール・機器についてのスキルになります。
またマニュアルがあったり、仕事の手順がすでに決まっていることが多いため、プログラミング知識などがなくても問題なく仕事を遂行することができます。
場合によっては、決まった業務をルーチンで繰り返すことがメインとなり、空いた時間をルーチンの改善や効率化に費やすという働き方もあるようです。
これからIT事務を目指すということであれば、ITパスポートや基本情報技術者など、ITについての広い知識を身につけられるような資格から取得することをオススメします。
またWord・Excelといったオフィスソフトについてのスキルも高めておくと仕事に役立てることができるので、Microsoft Office Specialist(MOS)という資格も有効です。
ただし、技術的なスキル以上に、報告・連絡・相談の徹底や、コミュニケーションスキルなどが重要視されるお仕事であることも事実です。
ビジネスマナーや最低限のビジネススキルをキッチリと身につけることも大事なポイントといえます。
IT事務の年収・キャリアパス
給与などの情報はピンキリですが、IT事務のお仕事は一般的にはIT業界の中でも低いとされています。
高いスキルが要求されない分、給与も低く設定される傾向にありますが、だからといって将来性が無いなんてことはまったくありません。
IT事務から入って、よりシステムやサーバーにたずさわる仕事にキャリアアップしていったり、ITインフラ周りの障害対応など、ITエンジニアとしてキャリアアップが可能です。
情報システム管理者として企業のIT運用を担う立場に進む方や、IT部門を統括するマネージャー職につく方もいるそうです。
今やIT業界だけでなく、どんな業界でもパソコンを使って仕事をするので、たとえIT業界でのキャリアを続けなかったとしても、IT事務の経験はプラスになることでしょう。
IT事務の1日の仕事の流れ
IT事務の大まかな一日の流れをイメージするとこのようになります。
09:00 出社・メールチェック・当日の依頼やタスク確認
09:30 PCトラブルの一次対応(ヘルプデスク業務)
10:30 定例ミーティング(情シスチームとの打ち合わせ)
11:00 アカウント発行の対応
12:00 昼休憩
13:00 PCのキッティング(新入社員分の対応)
14:30 突発的なプリンタ設定依頼の対応
15:00 マニュアル作成やナレッジ記事の更新作業
17:00 翌日のタスク整理・作業報告の入力・終礼
18:00 退勤
あくまで一例で、ある程度ルーチン化しつつも、突発的な対応があったり、時期によってPCキッティングやアカウント発行などのボリュームが増えることもあります。
あまり残業が多くない職種とされていますが、繁忙期や企業の体制や状況によってはその限りではありません。
スキルレベルは違えど、情報システム部に近い働きをしたり、実行部隊となって手を動かすことも多いため、部署間の連携が必要となってくるでしょう。
IT事務になるには?就職・転職の流れ
IT業界未経験でもIT事務の採用をおこなっている企業は多くあります。
規模としては数十名から数百名規模の中小IT企業が多いでしょうか。その多くはSESや常駐型でお客様先に対してIT事務のサービスを提供しています。
転職サイトなどで「IT事務」「ヘルプデスク」「社内サポート」などのキーワードで検索すると、未経験OKな求人が多く出てくるので、自分にあった企業を探してみましょう。
選考では「なぜIT事務に興味を持ったか」「PCにどれくらい慣れているか」などを聞かれることが多いのと、前職の事務経験や接客経験も、「サポート力」として十分にアピール材料になります。
注意したいのは、IT事務という仕事は「事務」といえど、これまで見てきたように想像以上にITエンジニアに近しいお仕事であるということです。
IT事務から一般事務や総務・経理・人事などへのキャリアがつながっているわけではなく、完全に別の業種だと言えるでしょう。(もちろん活かせるスキルはあります)
自身の将来とキャリアのことを考えて、職種や企業を選ぶようにしたいですね。
ちなみに、筆者はITエンジニアから総務・人事に転職した数少ないパターンだったりします。
IT事務はITエンジニアへの足がかりとして最適!
今回は「IT事務」というお仕事についての情報を、IT初心者の方にもわかりやすいようにまとめて解説しました。
仕事の理解ができて、より興味を持ってもらえたなら嬉しく思います。
IT業界は難しそうに見えますが、IT事務は未経験から始められる仕事のひとつです。
「パソコンを使うのが好き」「人のサポートが得意」そんな方なら、きっと活躍できるはず!
ぜひご自身でも気になる部分を調べてみて下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。